「子どもがゲームばかりして勉強しない」「夜遅くまでゲームをやめられないため朝起きられない」といった悩みをお持ちのご家庭も多いのではないでしょうか?このように、スマートフォンなどの普及でゲーム依存の問題が深刻化し、健康を害する懸念は強まっています。
ゲーム依存とは、「ゲームをする時間や頻度を自ら制御できない」「ゲームを最優先する問題が起きているのに続ける」などといった状態が12カ月以上続き、社会生活に重大な支障が出ている場合にゲーム障害と診断される可能性があります。
また、ゲーム障害になると、朝起きられない、物や人にあたるなどといった問題が現れるとされています。健康や社会生活に悪影響が出ている人はまだごく一部とされておりますが、ゲーム依存は各国で社会問題となっているのです。
それでは、ゲーム依存症になる子どもにはどのような特徴があるのでしょうか?そして、子どもが上手にゲームと付き合っていくにはどうしたら良いのでしょうか?
この記事では、ゲーム依存症になる子どもの特徴と防止策について徹底解説いたします。ゲームとの付き合い方、子どものゲームに対する親の関わり方について一緒に考えていきましょう。
✔ゲーム依存は脳に悪影響?
✔ゲーム依存症になる原因とは?
✔ゲームばかりにならないようにする対処法
もくじ
ゲーム障害は、ゲームに熱中し、利用時間などを自分でコントロールできなくなり、日常生活に支障が出る病気です。WHO(世界保健機関)では、新たな病気として2019年5月に国際疾病分類に加えました。
ゲーム障害の患者数は、はっきりとわかっていませんが、厚生労働省の調査では、「ネット依存」が疑われる人は成人で推定約421万人、中高生で約93万人(2017年)いると推定されています。また、久里浜医療センターを2016年~17年に受診した人のうち、ネット依存の約90%がゲーム障害という結果がでています。
ゲーム障害になると様々な問題がおこります。ゲーム障害で受診した9歳~46歳までの患者さんに起きた問題を調べた所、59%が「欠席・欠勤」、33%が「ひきこもり」に、76%が「朝起きられない」、60%が「昼夜逆転」が起きていました。また、そのうちの12%は「退学・放校」、7%が「失職」するなど、日常生活に支障を来たしています。
お子様に以下の兆候が見られた場合、まず注意することが大切です。
注意をすることで、ゲームの時間が減ったり、やめることができたりすれば、あまり問題はありません。しかし、注意してもゲームをする時間が減らない場合は、ゲーム障害が疑われます。
子どもがゲーム依存症に陥る原因は、2通り考えられます。
それは、子ども自身の本来の性格や能力といった内的な原因と、生活環境やゲームの中のコミュニティが影響する外的な原因です。ここでは、子供がゲーム依存症になる原因について、具体的に3つの観点から見てみましょう。
ゲーム依存症の内的原因の一つに、子ども自身のコミュニケーションスキルが低いことが挙げられます。内側にこもりやすく、嫌なことを避け、人との関わりが苦手な性格の子どもは、ゲーム依存につながる可能性があると言えるでしょう。
また、ゲーム機を使う従来的なゲームについては、親がある程度ルールを整えたり、付き合い方を指導したりすれば、通常はさほど心配はありません。しかし、気をつけたいのは、スマホやタブレット、パソコンを使ったオンラインゲームです。
オンラインゲームは、ゲームとしての面白さだけでなく、ネット上で人とコミュニケーションできる楽しさがあります。さらに、自分が中断してもゲーム自体は進行するので、「見ていないうちに何が起こっているんだろう」と気が気でなくなったり、「共同でやっている仲間に迷惑がかかる」と心配になったりして、なかなか抜け出せない構造になっているため、依存性が高いとされています。
「ネット上での居場所を失いたくない」という思いからゲームに費やす時間が増え、そうするとさらに依存が高まる、という無限ループに陥りかねないのです。
子ども部屋にゲーム機が置いてある環境は、親の目が届きにくいのでいつまでもゲームをプレイし続けて依存につながることがあります。
また、最近はスマホゲームやオンラインゲームの人気が高まっており、子供部屋にスマホを持ち込んでプレイしたり、部屋のパソコンを使ってゲームを利用する機会も増えています。特にスマホは、どこにでも持ち歩けるため、利用時間が長くなりやすいと言えるでしょう。
ゲームは一度始めると子どもが自分の意思でやめるのは難しいものです。「30分だけ」と約束しても「きりがいいところまで」になりがちで、まわりの声も聞こえなくなりどんどんはまってしまう傾向があります。
ゲームを子どもに与える場合は、「リビングでしか使わない」「決められた時間だけにする」など、事前に約束ごとをきちんと決めることをおすすめします。そして、スマホやゲームとの付き合い方も、親がいい手本となるように心がけましょう。
実生活で孤独や満たされない気持ちを感じる子どもは、「ゲーム」という狭いコミュニティの中で味わう達成感が快感になり、ますますゲームに夢中になることがあります。
例えば、テストの成績が悪かったり、家族や友達とうまくいかなかったりしても、ゲームの中で達成感を味わうと、「自分は何でもできる」「ゲームの中なら自分は認められる」と思い込んで、のめり込んでしまうこともあるでしょう。
特に、最初に挙げたコミュニケーションスキルが低い子どもは、日常生活では感じられなかった承認欲求や自尊心をゲームが満たしてくれるので、依存が強くなる可能性があります。
そもそも、ゲームは継続的に楽しませることを目的に作られています。ゲームには、「手軽に遊べること」「複数の人と同時に遊べること」「天気や時間にかかわらず遊べること」など、継続的に遊び続けることなどがあります。
このように、私たちを楽しませてくれるゲームですが、これらの魅力すべてが「ゲームをやりすぎる」原因になってしまうのです。この楽しいゲームをやめるよう親に言われると、子どもはイライラしたり不快な気持ちになります。
その結果、ゲームをめぐって親子の仲が悪くなれば、学習不振、不登校、引きこもりなどになる可能性があります。ゲームをすることは悪いことではないので、親子できちんと理解を深めることが必要です。ここからは、ゲームばかりにならないようにする対処法を一緒に考えていきましょう。
ゲームをする時間が増えた時は、子どもと一緒に一日のスケジュールを書き出してみましょう。子ども自身に書いてもらい、ゲームに依存する前と後の生活のどこが違うのか、どこが問題になるかを話し合います。
そして、ゲーム依存症になったらどうなってしまうのかを伝えます。例えば、「ゲームをする時間が増えると寝る時間が減る」⇒「朝起きるのがつらくなる」⇒「朝起きられなくなると学校に遅れる」⇒「遅刻が増えると学校に行きにくくなる」⇒ 「学校に行かない日が増えると授業についていけなくなる」と、どんな怖いことになるのか子ども自身に気づかせるようにします。
いくら親が言ったところで、子ども自身が気づかないことには改善されません。子ども自身に「ゲームにのめりこむのはまずい!」と思ってもらうことが大切です。ゲームは気分転換やリラックスにもなるので、正しい使い方ができるように考えてみましょう。
ゲームを買う前に、子どもとゲームをするときのルールを決めましょう。すでにゲーム機器がある場合は、新しいソフトを購入するときに行います。
ルールを決めるポイントは以下の3つです。
また、子どもがルールを破ったら、時には厳しい態度で接することも重要です。例えば、「3日間ゲーム使用禁止だからね」などと、事前に「ルールを破ったときのルール」についても、子どもと一緒に決めておきましょう。
親が一方的にルールを押しつけても、子どもは守りません。親も子も納得するルールを話し合い、その時によってルールの変更をすることも大切です。
「ゲーム=ダメ」と教えるのでなく、「ゲーム以外にも楽しいことがある」と行動で伝え、子供の興味や好奇心を育ててあげましょう。例えば、家族や友達と直接コミュニケーションを取りながら楽しむことができるボードゲームはいかがでしょう?
ゲームが好きな子どもにゲームを否定するような伝え方をすると、反発して逆効果になることがあります。ゲーム自体は悪いものではなく依存することが問題ですので、ゲーム以外にも目を向けさせることが大切です。
日常生活の中で子どもが少しでも興味を持ったことに親も興味を持ち、一緒に楽しむようにすると、依存の予防につながります。
近年、ネットの普及や外出自粛などでゲーム依存がますます起こりやすくなる環境が作られつつあります。スマホを持つ子どもが増え、教育でもオンライン学習を取り入れる傾向が強まる中、子どもを完全にゲームから遮断することは難しいと言えるでしょう。
ゲームをやめさせようと強引に取り上げるのではなく、なぜそのゲームに熱中してしまうのか、その背景を考えて子どもの周りの環境や背景、気持ちなどを理解することが大切です。私たち親は見守りながらゲームとの付き合い方を教えて、成長とともに自分の意志でコントロールできるよう導いていきましょうね。
カウンセリングでは、ゲーム障害についての理解をすすめることで、ゲームをする時間を減らす、やめる必要性に気づくよう対話をおこなっていきます。子どもの「ゲームへの思い」「没頭してしまう原因」「日常的なストレス」などを聞きとって、治療に役立てていきます。お子さんのゲーム依存が心配な親御さんは、ぜひカウンセリングを受けてみてくださいね。
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